カテゴリー別アーカイブ: アジアで人を育てる

第149回研修の現場からその4『気づき力と共有力』

アジアで人を育てる
「日本人だけではやっていけない! そんな時代に考えるグローバルな人材育成」
湯浅忠雄 アジアの人材育成企業HOWZ代表

第149回研修の現場からその4『気づき力と共有力』

★問題を問題と思う感覚
報連相に関して、現地の受講者から必ず尋ねられるのは、「どんな事を報告したらよいのか?」という質問です。
この件(たぐい)の質問には、すべてを報告する時間がない。という表面的な意味合いと同時に、下手に報告をしてそんなことは自分で考えろ、という上司からの叱責を避けたい、あるいは、余計な事に首を突っ込みたくない、という意図も感じられ、あまり好きにはなれません。
もしも受講者から、上記のような質問をされたときは、「何を報告するかではなく、大切な事は、“問題を問題と思う“感覚のほうが大切です。」と答えるようにしています。
「小さな問題であっても、上司に報告をする。」という受講者にも、下記のように話しています。
「そもそも、自分が小さいと思っている問題は、影響度を軽くみるので、報告が遅れたり、なおざりになってしまいます。あなたが小さいと思っている問題は、上司や会社視点でとらえた場合、非常に大きな問題かもしれないでしょ?問題自体の見方を変えないと、報告の質も上がりませんよ。」

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第148回研修の現場からその3『集団行動の意義をどう伝えるか』

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「日本人だけではやっていけない! そんな時代に考えるグローバルな人材育成」
湯浅忠雄 アジアの人材育成企業HOWZ代表

第148回研修の現場からその3『集団行動の意義をどう伝えるか』

★日本人の規律性
某国における現地社員対象の研修時のことです。
初めて日本に旅行したという男性受講者が、“ごみひとつ落ちていない”日本の街並みに感動した、と体験談をやや興奮ぎみに話します。
「湯浅さん、日本人の規律の良さは、学校での教育に秘訣があるのか?」
日本の学校でのクラブ活動や、子供たちによる各種委員会活動など、日本の学校、特に小学校、中学校では、勉強と同様に、社会に出てから必要な集団活動の基本を教えている、と話したところ、当該受講者は、興味深そうに耳を傾けていました。

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第147回研修の現場からその2『個人的印象の流布を防ぐ』

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「日本人だけではやっていけない! そんな時代に考えるグローバルな人材育成」
湯浅忠雄 アジアの人材育成企業HOWZ代表

第147回研修の現場からその2『個人的印象の流布を防ぐ』

★個人的感覚と事実
先日、某国の研修において、ケーススタディーの分析をしていたところ、現地の男性受講者が「そんなケースは日本人に任せればよい。日本人は日本人と話しがしたいのだから。」と回答します。
「決して、そんな事はないよ。しかも、多くの企業のオペレーションが現地化しているなかで、日本人が日本人と話したからといって解決できるわけじゃない。」
筆者がそう話しても、「いや、絶対にそうだ。」と譲りません。
日系企業の海外現地法人において、最終決定権は日本人責任者が持つという会社が多い状況ではあるものの、日々のオペレーションは、現地の社員に任されている場合がほとんどです。
確かに、案件によっては、日本人と日本人の間で決められていくことはあります。
ただ、それはあくまで期待されたプロセスとのギャップに基づく“結果として”であり、最初から、日本人同士で決めていこうという意向はありません。
従って、「日本人は、日本人と話がしたい。」という彼の言い分は、物事の一面だけをとらえたアンフェアな意見といえます。

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第146回研修の現場からその1『現地化の大義名分』

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「日本人だけではやっていけない! そんな時代に考えるグローバルな人材育成」
湯浅忠雄 アジアの人材育成企業HOWZ代表

第146回研修の現場からその1『現地化の大義名分』

★現地化の最終目的
先日、シンガポールの某日系企業で、工場責任者をつとめる現地社員のAさんと打ち合わせをしていたところ、筆者に以下のような質問を投げかけてきました。
「湯浅さん、何をもってして、現地化は成功したと言えるのか?」
A氏は、シンガポール人には珍しく(?)、当該企業一筋に働いてきた社員です。グローバルに展開する同社グループの中でも、“現地化の成功例”を体現した人物として、同社の日本本社からも高く評価されています。
そんなA氏だけに、“もはや自明の理”と思える上記の質問に、やや意外な印象を受けました。
「Aさんの後任を育てることが、成功の証(あかし)と言えると思いますよ。」
筆者の回答に、Aさんは、納得した表情をみせて、頷いていました。

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第145回現地社員の指導に欠かせないことその4『改善活動の前提』

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「日本人だけではやっていけない! そんな時代に考えるグローバルな人材育成」
湯浅忠雄 アジアの人材育成企業HOWZ代表

第145回現地社員の指導に欠かせないことその4『改善活動の前提』

★ある新聞記事
数年前、シンガポールの新聞(ストレーツタイムス)に、以下のような要旨の記事(コラム)が掲載されていました。
『これからの組織は、上長が部下に指示をして仕事を“させる”だけではいけない。社員がマネジメントに改善のサジェスチョンをできるような仕組みをつくらなければならない。
しかし、その際に大切な事は、サジェスチョンの内容は、“自分の所属部署以外”に関するものである必要がある。
なぜなら、改善の内容が、提案者の所属部門に関する事であれば、提案者も自分で改善に取り組まなければならなくなる。そのため“プレッシャー”を感じることから、サジェスチョンを控える危険性があるからである。』
(それじゃ、当事者意識が生まれないだろう。)シンガポールに向かう機中で、上記の記事を読んだ筆者は、心中で、そんな風に記事にツッコミを入れた次第です。
しかし、現実には、この記事のような立ち位置(意見は言いたいが、できるだけ、自分は関わりを持ちたくない。)が、改善活動を実施する前の、現地社員全般のメンタリティーと言えます。

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第144回現地社員の指導に欠かせないことその3『個人を高め、組織を高める』

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湯浅忠雄 アジアの人材育成企業HOWZ代表

第144回現地社員の指導に欠かせないことその3『個人を高め、組織を高める』

★報連相指導のボトルネック
アジア各地で現地社員の指導をしていて、最大のボトルネックになるのは、“日本企業特有の組織的な動き“を、大半の現地社員は、”弱さ“と受けとるところです。
「そんな時は、上司に相談した方が良いよ。」
現地の受講者にそうサジェスチョンをすると、ほぼ一様に、「そんな事は、自分で解決できます。問題が大きくなれば、上司に相談をします。」とこたえます。
「そんな事と思っているから、問題が大きくなるんでしょう。それに、問題が大きくなってからじゃ遅いよ。」というやり取りにつながります。
上記のやり取りを10年以上続けてきて、痛感するのは、現地社員にとって組織が強いという意味合いは、なんらかの“縛り”が構成員に課せられる集合体であると受け取っているということです。
従って、「上司に相談をする。」という行動は、自分を活かすということではなく、不甲斐なさを認める、あるいは、制約を設ける行動、と考えているわけです。
確かに、上長に相談をすれば、「そんな事もわからないのか。」とか「そのやり方はやめておけ。」というネガティブレスポンスがかえってくること場合もあります。そう考えると、「上長に相談をする、支援を求めるのは、弱さである。」という現地社員の考え方を、完全否定するわけでありません。
一方で、「組織的に動くというのは、構成員が個人的に弱いからだ。」という発想は、非常に危険ではあります。

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第143回現地社員の指導に欠かせないことその2『分けて考えさせる』

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湯浅忠雄 アジアの人材育成企業HOWZ代表

第143回現地社員の指導に欠かせないことその2『分けて考えさせる』

★部下指導のポイント
『月曜日、あなたは、部下から報告を受けます。曰く、先週金曜日にサプライヤーから連絡があって、今週納品予定の商品につかう部材にトラブルがあり、当該サプライヤーからの部材納入が遅れるため、わが社から得意先への納品も遅れそうである。さて、あなたが管理者であれば、どう対応しますか?』
上記のケーススタディーについて、大半の日本人管理者は、必ずといっていいほど、以下の2点について指導ポイントを挙げてきます。
1. 何とか納期に間に合わせるようにサプライヤーに再度、部下から連絡を入れさせる。
2. 金曜日に、わかった時点で、報告をするように指導する。
ところが、現地管理者の場合、1も2も、挙げてきません。
他のサプライヤーを探す等の業務的な対応に留まり、部下指導という視点で、解決策を挙げてくることは皆無です。
そこで、一計を案じた筆者は、現地の受講者に、こう質問を投げかけました。
「あなたが業務的に対応するだけであれば、また同じ問題が起きる可能性は高いですよね。だって、部下の成長に、何もつながっていない。であれば、こう考えてみましょう。“今回の”業務的対応をフェーズ1とします。そして、同じ問題が起きないための部下指導をフェーズ2とします。フェーズ2では、どんな指導を行いますか?」
ここまで話すと、ようやく、上記の1、2のポイントが受講者から挙げられます。

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第142回現地社員の指導に欠かせないことその1『哲学を教える』

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第142回現地社員の指導に欠かせないことその1『哲学を教える』

★品質哲学
過日、ある研修会で、現地の受講者が、「なぜ、品質を守ることが大切なのか?」という質問をしてきたので以下のように答えました。
「私の長男が大学に入学をしたとき、台湾製のパソコンを買ってやりました。ところが、そのパソコンは、非常に品質が不安定で、購入2か月後には、CD―ROMが壊れ、3か月後には、ハードディスクが役に立たなくなってしまいました。
長男が、購入元の家電店に持っていくと、「中国や台湾製のパソコンには、何割かの割合で、こんな商品があります。」という回答でした。
品質を確率でとらえているということなのでしょうが、仮にその確率が、0.001%でも、その0.001%の不良品を購入した人間にとっては、100%の不良です。
そして、その商品を生産した会社に対するイメージは、“100%の不良を生産する会社”と捉えられてしまいます。
それだけではなく、商品を買う人には、その商品を買う何らかの理由があります。私の場合のように、子供の入学祝いだったり、あるいは結婚記念日に、あるいは、誕生日のお祝いに購入したものかもしれない。
つまり、物を買うというのは、物を買う以上の価値のある行為です。
品質を守るというのは、そうした価値を守るということです。その人の思い出であったり、祝福であったり、といった購入したものに含まれる価値を守るということです。」

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第141回新たな課題 その3『ガバナンス崩壊を防ぐ』

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湯浅忠雄 アジアの人材育成企業HOWZ代表

第141回新たな課題 その3『ガバナンス崩壊を防ぐ』

★背信行為
先日の現地社員対象の人事考課研修で、受講者が、こんな話をしていました。
「わが社では、これまで、どちらかといえば、年功を中心とした人事評価システムを展開していました。
しかし、最近赴任した日本人責任者が、「これではダメだ。時代に合わない。」という事から、実力主義の色彩が濃い評価システムを日本から、導入しました。
すると、当社人事部のベテラン現地社員が大いに反発して、「この制度は、日本人が、我々の給料をケチるために始めた制度だ。」と吹聴するんですよ。」 」
さらに、当該人事社員は、新しい人事制度のポイントの内訳まで、社員にばら撒いたそうです。
人事部に属する社員としては明らかな職務違反行為であり、しかも、この話をした現地社員も、深刻に受け止めていないようでした。
「まったくプロフェッショナルではない。」
筆者は、敢えて、厳しい表現を使い、なぜそうした行為が良くないのか、当該受講者、および、そこ居合わせた現地受講者にも、分かるように話した次第です。
それにしても、こんな背信行為を、明確な形で裁けないのが、日本企業の現地法人のアキレス腱だと言えます。
「日本企業は、首を切らない。」
そう思って、真摯に仕事をしてくれることであれば、何も文句はありません。
しかし、雇用を優先させる日本企業のやり方を、自分の都合のよい風にとらえ、しかも勤続年数の長い人物が、上記のような背信行為を行うのは、本当に残念でなりません。

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第140回新たな課題 その2『パターン化した考え方の打破』

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「日本人だけではやっていけない! そんな時代に考えるグローバルな人材育成」
湯浅忠雄 アジアの人材育成企業HOWZ代表

第140回新たな課題 その2『パターン化した考え方の打破』

★異常を感じる能力
過日の某国における日本人出向者対象の研修で、あるケーススタディーについて議論をしていたところ、50代の中高年の受講者が、「機械の正常・異常を、現地社員に理解させる良い方法はありませんかね?」と他の受講者に質問をしました。
当該質問を受けて、別の若手男性受講者が手を挙げて、「わが社では、正常、異常を数値化して、見える化するようにしています。」と回答しました。
若手男性受講者の回答に、どうも腑に落ちないところを感じた筆者は、次のように意見を挟みます。
「今の(中高年受講者の)ご質問は、正常や異常に対する“感覚”を、どう高めるか、という意味合いだと思います。」
「そうなんですよ。なんでも、数値化して解決できたら、事足りるけど、まずは、その感覚を高めたい、ところなんですけどね。。」
当該中高年受講者が、筆者のコメントに我が意を得たりとばかりに、発言するのを聞きつつ、海外現地法人にも、日本人の仕組み世代と、現地社員の仕組み世代の組み合わせという時代が、いよいよ台頭する時代を感じた次第です。

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